処遇改善加算は、どのように賃金改善に使わなければならないのですか?(令和8年度 処遇改善加算Q&A・賃金改善のルール)

令和8年度 Q&A|賃金改善のルール

処遇改善加算は、どのように賃金改善に使わなければならないのですか?

公開 2026年9月26日|監修 小野 好聡(公認会計士・税理士・行政書士)

お答えします

事業者は、算定した処遇改善加算の額に相当する賃金改善を、職員に行わなければなりません。賃金改善は、基本給・手当・賞与のうち対象にする項目を決めて行い、特別事情届出書を出す場合を除いて、賃金水準を下げてはいけません。安定した処遇改善のため、基本給で行うことが望ましいとされています。令和8年度は、令和7年度より増えた加算額に相当する賃金改善を、ベースアップを基本に新しく行う必要もあります。

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一解説

くわしい解説

加算の額に相当する賃金改善が、事業者の義務です

処遇改善加算を算定した事業者は、加算の算定額に相当する賃金改善を、職員に行わなければなりません。ここでいう賃金には、基本給、手当、賞与が含まれ、退職手当は含まれません。

賃金改善に伴って増える法定福利費等の事業主負担も、賃金改善の額に含めることができます。含められる範囲は、別のページで説明しています(法定福利費等の範囲)。

対象にする賃金項目を決めてから行います

賃金改善は、基本給、手当、賞与などのうち、対象にする項目を特定したうえで行います。特定した項目を含めて、賃金水準(賃金の高さの水準)を下げてはいけません。例外は、経営の悪化などで特別事情届出書を提出する場合です(特別事情届出書)。

どの項目で行うかは事業者が決めますが、通知は、安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましいとしています。

職種間の配分は、事業者の判断で柔軟に決められます

職種の間でどう配分するかは、事業者の判断で、事業所の中で柔軟に決めることが認められています。そのとき、介護職員(障害福祉は福祉・介護職員)、特に経験・技能のある職員の処遇改善が重要であることに留意します。

経験・技能のある職員は、介護では介護福祉士の資格を持ち、所属する法人等での勤続年数が10年以上の介護職員が基本です。障害福祉では、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士のいずれかの資格を持ち、勤続年数が10年以上の福祉・介護職員が基本です。どちらも、他の法人での経験や業務・技能を踏まえて、各事業者の裁量で設定できます。

ただし、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同じ法人の一部の事業所だけに集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分はしてはいけません。くわしくは賃金改善の集中で説明しています。

令和7年度より増えた加算は、新しく賃金改善に充てます

令和8年度には、令和7年度と比べて増えた加算額について、過去の賃金改善の実績に関わらず、新しく賃金改善を行うことも求められています。その賃金改善は、ベースアップで行うことが基本です。くわしくは令和7年度から増えた加算額で説明しています。

※本ページは、令和8年度の処遇改善加算について、国の通知とQ&Aをもとにした一般的な解説です。届出や算定の個別の取扱いは、指定権者(都道府県・市区町村)の案内もあわせて確認してください。

二介護と障害福祉

介護と障害福祉の違い

賃金改善の基本ルールは共通です。配分で重視する職員と、「経験・技能のある職員」の資格の範囲が異なります。

項目介護障害福祉
配分で重視する職員介護職員福祉・介護職員(ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士など、通知に挙げられた職種)
経験・技能のある職員の資格介護福祉士介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士のいずれか
勤続年数の目安所属する法人等で10年以上所属する法人等で10年以上

障害福祉の「福祉・介護職員」にあたる職種は、別のページで説明しています(障害福祉の「福祉・介護職員」)。

三一次情報

根拠となる通知・Q&A(原文)

ここからは、国が示した通知とQ&Aの原文です。文字は原文のままで、行の折り返しだけを整えています。障害福祉の令和8年度分の通知とQ&Aは、2026年9月26日の時点で厚生労働省のホームページに見当たらないため、大阪府のホームページに掲載された写しから引用しています。

介護介護の通知 2⑵

⑵ 賃金改善の実施に係る基本的な考え方

介護サービス事業者又は介護保険施設(介護予防・日常生活支援総合事業の事業者を含む。以下「介護サービス事業者等」という。)は、処遇改善加算の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。以下同じ。)を含む。)の改善(以下「賃金改善」といい、当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる。)を実施しなければならない。

その際、賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする項目を特定した上で行うものとする。この場合、本通知5⑵の届出を行う場合を除き、特定した項目を含め、賃金水準(賃金の高さの水準をいう。以下同じ。)を低下させてはならない。また、安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい。

令和8年度に、令和7年度と比較して増加した加算額(処遇改善加算の新規算定や上位区分への移行(令和8年6月以降の処遇改善加算Ⅰロ及びⅡロへの移行も含む。)により増加した加算額に加え、令和8年度介護報酬改定による加算率の引上げ(令和8年6月以降の算定分に限る。)により増加した加算額をいう。)について、介護サービス事業者等は、独自の賃金改善を含む過去の賃金改善の実績に関わらず、新たに増加した処遇改善加算の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金改善を新規に実施しなければならない。その際、新規に実施する賃金改善は、ベースアップ(賃金表の改訂により基本給又は決まって毎月支払われる手当の額を変更し、賃金水準を一律に引き上げることをいう。以下同じ。)により行うことを基本とする。ただし、ベースアップのみにより当該賃金改善を行うことができない場合(例えば、賃金体系等を整備途上である場合)には、必要に応じて、その他の手当、一時金等を組み合わせて実施しても差し支えない。

処遇改善加算を用いて行う賃金改善における職種間の賃金配分については、介護職員、特に経験・技能のある介護職員(介護福祉士であって、経験・技能を有する介護職員と認められる者をいう。具体的には、介護福祉士の資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の介護職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等を踏まえ、各介護サービス事業者等の裁量で設定することとする。以下同じ。)の処遇改善が重要であることに留意しつつ、介護サービス事業者等の判断により、事業所内で柔軟な配分を認めることとする。ただし、例えば、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同一法人内の一部の事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこと。

出典:「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(老発0313第6号、令和8年3月13日、厚生労働省老健局長)
掲載:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675724.pdf)/2026-09-26 取得

障害福祉障害福祉の通知 2(2)

(2)賃金改善の実施に係る基本的な考え方

障害福祉サービス事業者、障害者支援施設、一般相談支援事業者、特定相談支援事業者、障害児通所支援事業者、障害児入所施設又は障害児相談支援事業者(以下「障害福祉サービス事業者等」という。)は、処遇改善加算の算定額に相当する福祉・介護職員その他の職員の賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。以下同じ。)を含む。)の改善(以下「賃金改善」といい、当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる。)を実施しなければならない。

その際、賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする項目を特定した上で行うものとする。この場合、本通知5(2)の届出を行う場合を除き、特定した項目を含め、賃金水準(賃金の高さの水準をいう。以下同じ。)を低下させてはならない。また、安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい。

令和8年度に、令和7年度と比較して増加した加算額(処遇改善加算の新規算定や上位区分への移行(令和8年6月以降の処遇改善加算Ⅰロ及びⅡロへの移行も含む。)により増加した加算額に加え、令和8年度障害福祉サービス等報酬改定による加算率の引上げ(令和8年6月以降の算定分に限る。)により増加した加算額をいう。)について、障害福祉サービス事業者等は、独自の賃金改善を含む過去の賃金改善の実績に関わらず、新たに増加した処遇改善加算の算定額に相当する福祉・介護職員その他の職員の賃金改善を新規に実施しなければならない。その際、新規に実施する賃金改善は、ベースアップ(賃金表の改訂により基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」という。)の額を変更し、賃金水準を一律に引き上げることをいう。以下同じ。)により行うことを基本とする。ただし、ベースアップのみにより当該賃金改善を行うことができない場合(例えば、賃金体系等を整備途上である場合)には、必要に応じて、その他の手当、一時金等を組み合わせて実施しても差し支えない。

処遇改善加算を用いて行う賃金改善における職種間の賃金配分については、福祉・介護職員(※)、特に経験・技能のある福祉・介護職員(介護福祉士等であって、経験・技能を有する福祉・介護職員と認められる者をいう。具体的には、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士又は保育士のいずれかの資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の福祉・介護職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等を踏まえ、各障害福祉サービス事業者等の裁量で設定することとする。以下同じ。)の処遇改善が重要であることに留意しつつ、障害福祉サービス事業者等の判断により、障害福祉サービス等事業所内で柔軟な配分を認めることとする。ただし、例えば、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同一法人内の一部の障害福祉サービス等事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこと。

(※)福祉・介護職員は、次のいずれかの職種とする。

ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、就労定着支援員、就労選択支援員、地域生活支援員、訪問支援員、夜間支援従事者、共生型障害福祉サービス等事業所及び特定基準該当障害福祉サービス等事業所に従事する介護職

各障害福祉サービス等の人員基準において置くべきこととされている従業者の職種に限らず、上記の対象職種に該当する従業者は対象となること。

上記の他、各障害福祉サービス等の人員基準において置くべきこととされていないが、福祉・介護職員と同様に、利用者への直接的な支援を行うこととされ、その配置を報酬上の加算として評価されている以下の職員については対象に含めて差し支えないこととする。

① 就労継続支援A型の「賃金向上達成指導員」(賃金向上達成指導員配置加算)

② 就労継続支援B型の「目標工賃達成指導員」(目標工賃達成指導員配置加算)

③ 児童発達支援及び放課後等デイサービスの「指導員等」(児童指導員等加配加算におけるその他の従業者)

出典:「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分)(障障発0331第1号・こ支障第78号、令和8年3月31日、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長、こども家庭庁支援局障害児支援課長)
掲載:大阪府(https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf)/2026-09-26 取得

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